005:ありがとう

どうしていいか分からないとき、悩んでも悩んでも分からないとき。

答えを見つけなくてはいけないのに、見つけられなくて――深い闇に囚われたみたいに、あたり一面真っ暗で。

そんなとき、貴方は傍にいてくれた。ただ、黙って傍にいてくれた。

 

あたしの隣に座って、ただじっと。

あたしが何かを言うまで、ただ静かに。

まるで空気みたいに、それでいて優しい風みたいに。

ずっとずっと、一晩中傍にいてくれたよね。

 

泣き出したら、いけないから。

泣かないで、じっと耐えてた。

泣いたって何かが変わるわけじゃないから。

あたしだけが辛いわけじゃないから。

でも、あたしには貴方が傍にいてくれた。

静かで優しい、大気みたいに優しく包み込んでくれた。

だから、越えられたの。

全部、あの日――あたしを丸ごと、貴方が抱きしめてくれたから。

 

ただ黙って、優しく抱きしめてくれたよね。

それだけで、どんなに嬉しかったか分からない。

言葉よりも確かで、何よりも優しかった。

だから、救われたの。

 

貴方はいつもあたしに救われたって言ってたけど、それはずっと逆だったの、知ってた?

確かに始めはそうだったかもしれないけど、それからはずっと、あたしは貴方に救われてた。

大好きだって、自覚するのにそんなに時間はかからなかったくらい―――。

 

ありがとう。

大好き。

 

そういって抱きしめたら、貴方も少しは喜んでくれる?

 

ありがとう。

大好き。

―――あたしの、シャムロック。

 

fin

トリス一人語り、やってみたかったんですー。
2005.07.02

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