001.Boy meets Girl

凄惨な荒野と成り果てた故郷。

眼下に広がるのはいつもの、穏やかで優しい町並みではなく。

屍人と化した人たちの無残な姿が沈んだ―――『朱い』土地。

強くあろうと、護ろうと誓ったのに、護りきれなかったもの。

全てが最悪な形で壊され、奪われ、絶望に覆われて、目の前が何も見えなかった。

次々と襲ってくる『悲惨な運命』に、なすすべなく翻弄される自分が居た。

足元を掬われて前にも進めず、かと言って過去に帰るコトもできない。

ただ『今』に立ち止まり、慟哭するしかなかった。

 

―――そんな、中で。

少女が一人、真っ直ぐな心で自分の目の前に現れた。

 

旧知の存在よりも先に、その細い腕を懸命に伸ばして。

絶望の淵に佇んで止まっていた自分を、明るい空の下へと引き出してくれた。

自分は、弱い。

だから、今よりももっともっと強くありたい。

いつも、そう思っていたはずなのに。

自分は弱さに甘んじてばかりで、一歩も前へ進もうとしなかったのだと思い知った。

自分だけが不幸なのではない。

『不幸』だと嘆くことこそ不幸なのだと。

それを、少女は教えてくれた。

自分よりも小さくて、華奢な身体なのに…何処にそんなパワーがあるのかと思うほどの力で教えてくれた。

 

今、眼下に広がる『故郷』の姿を、自分は絶対に忘れはしない。

けれどそれは『不幸』を嘆くためではなく、明日に向かうために。

だから、少女への感謝も忘れない。

あの真っ直ぐな心が、傷つくことのないようにと思う。

 

少女に出逢ったその日、シャムロックの中で『何か』が生まれ変わった。

fin

シャムロック視点から開始。妙に照れるのは何故だろう…(笑)
2005.07.01

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